独り言<あるOLの一日>
年収は‥自称300万強というところである。

これは一体高いのか安いのか‥

もちろん、安い部類である。

真奈美にとって世間一般のOLの年収など知る芳もないが、16年も働いて給料は低空飛行のままだ。

増えるどころか徐々に減ってさえいるのが現実である。

大手一流企業や俗に言う「勝ち組企業」のOLにはもちろんそんなことはありえないだろう。

それぐらいは、真奈美にだって想像できる。

丸の内や副都心のオフィス街を高級ハイヒールで闊歩するファッション雑誌から抜け出したようなOL達の生活は真奈美とは別世界のものなのだ。

そう思えばあきらめもつく。

だが一方で、銀行や郵便局にお遣いに出て目に入る同年代の働く女性を見ては思わず年収や生活を想像する情けない自分がいるのも事実である。

週末にはそんなこと考えもしないのだが、いい年してダサい制服姿で大都会を歩いているとついついそんな風に物事を見てしまうのだ。

37歳とはいえ、やはり地味でダサいおばさんOLにはなりたくないし、まだ完全に
諦めているわけでもない。
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