独り言<あるOLの一日>

午後

真奈美のいる部署は「営業部」である。

真奈美以外の男性社員は日中は外出していてほとんど席にいない。

男性社員に頼まれた見積書や契約書の作成、データ処理にその他雑務一般が主な真奈美の仕事である。

お茶汲みも、時々やる。

コピーも重要な仕事のひとつである。

昔の職場もそうだった。

ただ、そこでは当時女子社員が、「総合職」と「一般職」に分かれていて、「総合職」はまだ少数で、真奈美はもちろん「一般職」の方だった。

総合職の女性社員は制服ではなく私服のまま仕事をしていて、「外回り」、「接客」、「打ち合わせ」と華やかな仕事(?!)に颯爽とでかけていく。

それを横目で見ながら、たまに銀行等お使いに行く以外は一日中事務所で事務雑務全般をこなしていた‥。

そんな生活を十年続け、ますますお局化する一方で十一年目を迎えた頃に、転職先を探してみたものの、これといったところが見つからず、

派遣会社の募集広告「キャリアアップを目指す貴女へ」

の言葉に思わず飛びついた。

だが、別に特別な才能や能力があるわけではないので、「一般事務」か「営業事務」でしか登録できない。


そうなると、結果的には転職しても、環境が変わるだけで仕事内容は大して変わらなかった。

収入も、ほとんど変わっていない。

でも、その時は、とにかく環境を変えてみたかったのだ。
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