独り言<あるOLの一日>

ほっとして‥

ドアを閉めて、鍵をかけてから、靴を脱ぐ。

電気を点けると「ほっ」とため息。

荷物を置いて、テレビのスイッチオン。

クイズ番組だ。

ビールを冷蔵庫に入れながら、チャンネルを変えてみるが、見たいものなどない。

だからといって、消すこともできず、比較的静かな(?!)ニュースにする。

手を洗い、服を脱いで、Tシャツとスウェットに着替える。

ふとみると留守電がピコピコ光っている。

誰からか想像はつく。

そう実家からの電話だ。 
 
「もしもぉーし、元気にしとる?たまには家に電話せんね。今度はいつ帰ってくると?」

に思わず「はい、はい、はぁ~うるさかぁ」

と返事をしながら、プシュッ‥缶ビールを開ける。

一口のんで、「はぁ~っ」と大きくため息をついた。

一体いつまで、こんな生活が続くのだろう‥

言いようのない不安に襲われる。

パックの蓋をパリパリと開け寿司をつまみながら、おもむろに預金通帳を取り出し残高を見てみた。

1,860,006円

これが、今の真奈美の全財産だ。

ゼロではない、でも決して多くない。

こんな金額では、留学なんてとても無理、マンションなんか到底買えない。

仮に100%ローンで買えたとしても病気になって働けなくなったら、あっという間になくなる金額だ。

なのに、またこうやって、スーパーで値引きとはいえパックの特上にぎりやビールだの、目に見えないお金がパラパラと消えている。

どうしたら、いいのかわからない。

みんな一体どうしてるのかもわからない。
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