遠恋~エンキョリレンアイ~
「はよー真尋。…なんかニヤついてねぇ?」

裕樹はそう言うとニヤニヤしながら寄ってくる。

「なにがだよ。ニヤついてねーし」

「ふーんへーぇそーっかー」

茶色に染まったふわふわした髪に、男の俺でも羨ましいくらいに整った顔立ちを近づけて来る。

―ピロリン♪

待ちわびていた通知音が鳴り、俺は慌てて携帯を見る。

『真尋くんおはよ!昨日は寝ててごめんね(´・ω・`)』

顔文字可愛いんだけど…

「真尋くんおはよ!昨日は寝ててごめんね…へーぇ。いつの間に彼女なんて出来てたんだよ」

携帯をのぞき込む裕樹から慌てて逃げた。

「彼女じゃねーから!趣味友達!」

「でもお前にしては、女の子とそうやって絡むの珍しいよな」

裕樹は一瞬考える素振りを見せると、納得したような表情で俺を見る

「あ、恋か!なるほどな!」

―ドキッ

「ちげーよ!ないからな!」

何言ってんだよこいつ。話して間もないのにあるわけねーだろ。

そう考えたが、僅かながらに俺の中で恋心は芽生え始めていた。
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