お姫様はふたり
「ほんとに?」


菜乃子はまだ聞いてくる。


もう一回、『大丈夫だよ。』と言おうと口を開いたら、代わりにくしゃみが出た。


「ちょ、真琴、大丈夫?風邪な…」


菜乃子が言い終わらないうちに、菜乃子の声はクラスの男子によって掻き消された。


「うわっ!!真琴ちゃん、大丈夫?俺と保健室行く?」


その男の子は私の肩を抱くように手を置いてきた。


え、近いよ…。


目の前で菜乃子が露骨に顔を歪めた。


「え?大丈夫だよ」


そう言いながら、その子の手を振り払おうとするけど、力が強くてできない。

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