AfterStory~彼女と彼の話~

├初めての屋外デート(麻衣×海斗)

【九条麻衣×佐々原海斗の場合】

side麻衣

ついこの間までは桜が咲いて春だと思っていたのに、今日の陽射しの強さは夏みたい。

私は照りつける陽射しによって日焼けしそうになり、道すがら日傘を買ってしまった。

「もうすぐ着くよね」

フェイスタオルで汗を拭きながら歩いてると、ようやく目的地が見えてきた。

其処は広大な公園で、様々な露店が軒を連ねていて、いい香りが漂っている。

「え~っと、言われたお店は…。あ、あれだ。海斗さーん!」
「よお」
「麻衣ちゃん、いらっしゃい」

私はあるお店に行くと、海斗さんと漁師さんたちが大型のコンロでたくさんの魚を焼いていた。

「折角の大型連休なのに、来てくれてありがとな」
「海斗さんたちのお手伝いをしたかったので、気にしてないですよ」
「良かった。荷物は此方に置いて、アンタは俺の隣で焼かれた魚を皿に移してくれ」
「はい!美味しい魚をたくさんの人たちに食べてもらいましょうね」

先日海斗さんから電話が来て、漁港組合員の提案で『地元の魚をもっと広めよう』と広大な公園の一角に露店を出してPRすることになり、そのお手伝いを頼まれたのだ。

荷物を置いてエプロンをつけて、海斗さんの隣でお手伝いを始めていると、一組の親子連れがお店の前にきた。

「まぁ、こんなに大きな魚は見たことないわ」
「ねぇ、ママ。魚を食べたい」
「いいわよ。この魚をひとつ下さい」
「ありがとうございます。どうぞ」
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」

私はお皿とお箸を渡してお会計をすると、親子連れは嬉しそうにお皿を持ちながら食事スペースへ向かっていった。

時間的にお昼ご飯になろうとしているので、お店の前にはたくさんの人たちが来て、次々と魚を買っていく。
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