AfterStory~彼女と彼の話~

├初めての旅行(美空×幸雄)

«星野美空×水瀬幸雄の場合»
side美空

私はかなり緊張しながら旅行バックを手にして待ち合わせの駅に向かうと、幸雄さんがいた。

「お待たせしました」
「俺も来たばかりだから大丈夫だよ、じゃあ行こうか。はい、切符」
「ありがとうございます」

私たちは手を繋いで改札を入り、私はホームで電車が来るのを待ちながら切符に視線を落とした。

切符の行き先は県境にある温泉町がある駅で、やがて電車がホームに入ってきたので乗り込むと、私は窓側で幸雄さんは通路側の席に座った。

「温泉なんて久しぶりだなぁ」
「私も家族旅行以来なので、どんな風情か楽しみです」
「俺は美空との旅行が初めてだから、それも楽しみだよ」

そう、私たちはこの大型連休を使って初めての一泊旅行に行く。

先日幸雄さんから電話がきて温泉に行こうと提案され、今まで遠出したこともなかったから快諾したんだけど、私って寝相とかイビキとかは大丈夫かな。

幸雄さんの部屋に泊まるときも気をつけてはいるんだけど、もしかしてやってしまっているかもしれないし、それに初めての旅行ということで奮発して下着を良い物にした。

(初めて幸雄さんの部屋に泊まった時は、色気が全くない物だったし…)

私は旅行バックから本屋さんで購入したガイドブックを取り出し、2人でページを見る。

「色々なお店がありますが、幸雄さんの行きたい場所はありますか?」
「そうだなぁ、この雑貨屋とかいいし、この甘味処もいいね」

私たちはガイドブックを見ながら、旅行先での散策に期待をするのだった。
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