AfterStory~彼女と彼の話~

├雨音に交じって(星野美空×水瀬幸雄の場合)

 side美空



 スマホに幸雄さんからのメッセージを受信したアイコンが表示されたので、指でタップして本文を表示させた。

『今日は美空の料理を食べたいな 幸雄』

 シンプルな文章だけど大好きな人のリクエストに断るわけないから、返信ボタンを押す。

「えっと…、『分かりました。美味しい料理を作ります!今日は雨が降りそうなので、帰りは気をつけましょうね 美空』と」

 幸雄さん宛てのメッセージを送信して、スマホをバックにしまう。

 今日は幸雄さんの部屋に行く約束をして、総務課に勤める私の忙しさより、雑誌を創る立場の幸雄さんの忙しさは尋常じゃなくて、四つ葉出版社以外で会えない日々が続いているから、こうして会える日がとても心待ちにしていたのだ。

 電車に揺られながら、頭の中で幸雄さんに作る料理の献立を考える。

 ずっと遅くまで仕事をしているならボリュームがあるお肉料理がいいし、素朴さを出すなら魚と野菜を組み合わせたものがいいかな?

 昼休みもずっとそんなことばかり考えていて、はやく幸雄さんと会える時間にならないかと思いながら仕事をすすめた。
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