AfterStory~彼女と彼の話~
 南山と数人の警察官が周りにいた野次馬に聞き込みをして、犯人像を割り出していく。

 どうやら服装は黒のジャンパーに青のヘルメット、スクーターに乗って犯行に及んだみたい。

 南山は警察手帳に詳細をメモをとり、手帳を閉じてスーツの中ポケットにしまった。

「後は防犯カメラで確認してみないとな」
「早く捕まるといいね」
「捕まえてみせるさ」

 南山の自信たっぷりな言い方は、警察学校で知り合ってから変わってない。

 他の警察官たちがパトカーに乗り込み始め、南山を見送ろう。

「今日は出掛けられなくて悪かった」

 南山が小声で今日のデートが出来なくなってしまったのを謝り、私は横に顔を振る。

「ううん、事件が一番大事だから。(パトカーに)行って大丈夫だよ」
「ああ、気をつけてな」

 南山はじゃあと手を上げてパトカーに乗り込んだらパトカーは走り出し、私も折角買い物したいと思ってたけどまた次にしておこうと決めて、小宮駅に向かって歩いていると、背後から何かが近づく音が聞こえ、バッと振り返った。

 あの青いヘルメット…、スクーター…、もしかして!

 南山から聞いていたひったくり犯の特徴にぴったりだと思い、私はスクーターの前に立ちはだかった。

「止まりなさい!」

 近づくスクーターに怯みそうになるけど、私だって警察官で、此れくらい恐くない!

 スクーターのスピードは落ちることはなく、だんだんと距離が短くなってきて、瞼をギュッと閉じた。

 お願い!止まって!!

 急ブレーキがかかる音がして、閉じた瞼をそっと開くとスクーターは私を避けて道端に横転していた。

「痛っ…」

 ひったくり犯はふらふらと立ち上がり、逃げようとする。

「ま、待ちなさい!」
「離せ!!」
「きゃっ」

 私はひったくり犯の腕を掴むと、ひったくり犯は腕を振り切り、私は地面に叩きつけられ、咄嗟についた左手を痛めてしまった。

 どうしよう、逃げられてしまう…、でも頭と身体がうまく噛み合っていないのか、立ち上がろうとしても動けなくて、ひったくり犯はそんな私を見下ろし、ジャンパーの懐から光る物を取り出す。

「邪魔をするからだ」

 そう言い放つと、光る物を振りかざした。

 もう駄目…、立派な職業に就きたくて警察官になったのに、こんな呆気ない最後だなんて警察官として失格だよね。

 私は瞼を閉じて、顔を俯かせた。
< 19 / 165 >

この作品をシェア

pagetop