AfterStory~彼女と彼の話~
1日休んだだけで書類は山のように積まれていて、深くため息をつく。

 (このペースでいくと、昼食はコンビニで済ました方がいいな)

「ゴホッ…、ケホ」

四つ葉出版社では風邪が流行っているのか、ファッション部もマスク姿で咳をしながら仕事をしたり、欠勤になっている部下もいる。

お昼休みの時間に四つ葉出版社の近くのコンビニに行って、サンドイッチとコーヒーを買って、編集部に戻って食べ始める。

「この間、彼女がハンバーグを作ってくれて嬉しかったなぁ」
「男ってハンバーグが好きですよね」
「料理が出来る女子っていいじゃん」
「えー、私は男子に作ってくれると嬉しいな。ミキミチ君みたいな料理男子だと、彼女としてはポイント高いですよ」
「俺はお袋の味で、カレーかな。じゃがいもがゴロッとしているのがいいな」

次から次へと料理と恋愛話について盛り上がり、この間美空が作ってくれたお粥は美味しかったなぁと思い出しながら、コーヒーを飲む。

「水瀬編集長は料理をしますか?」
「いや…、食べるのが専門かな」
「作れないと、いざっていう時に困りますよ?」
「そうなの?」

『clover』の恋愛ページを担当している部下の女子から質問されたが、一人暮らしに慣れてるせいか、外食かコンビニばかりだから作ったことは無いな。

「将来結婚した時に、料理が出来る出来ないで全然違いますよ」
「そうなのかな」
「そうですよ!『clover』の恋愛ページをずっと担当していますが、カップルの話を聞く限り、全部任せきりだと喧嘩になりますよ。体調崩したら、簡単な物でもいいから料理を作ってくれたら凄く嬉しいですよ」

部下の熱のこもった力説に、周りの部下もうんうんと頷いている。

「粋なりミキミチ君みたいにハイレベルな料理を作って欲しい訳じゃないので、簡単なカレーやポトフだといいかも知れませんね」
「ポトフか…」

いつもは美空に作って貰ってばかりだから、美空に作ってあげようかな。

部下と恋愛談義をするとは思わなかったけど、参考にさせてもらおう。
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