AfterStory~彼女と彼の話~

├愛のスイッチ(水瀬幸雄side)

【水瀬幸雄side】



愛のスイッチ、入ります



今手がけている雑誌『clover』の進行は、梅雨の時期に向けて始めている。

この業界に入って季節感がバラバラになっているから、頭の切り替えが大変だ。

「水瀬編集長、来月号の見本誌が届きました」
「ありがとう」

副編集長から来月号の見本誌を受け取り、中身を確認する。

来月号は春前に発売されるので、ファッションの特集は春を意識した内容をふんだんに取り入れた。

少しでも部下達が考えたコーディネートを参考にしてもらえれば、嬉しい。

他の特集のページを読み、中にはバレンタインについての内容があった。

手作りチョコのレシピにラッピングの種類も豊富で、女性ってこんなに時間をかけて用意をするんだなと関心する。

男性側から見たバレンタイン事情の話も様々で、彼女ばかりじゃ申し訳ないから自分からも何かしようと逆チョコをしたり、彼女に内緒でレストランを予約しているとあった。

 (俺も美空にサプライズでしてみようかな)

普段忙しくてどこかに行くのもなくて、お互いの部屋を行き来しているだけだし、たまにはっていうのは語弊かもしれないが、いつもと違う雰囲気を過ごすのも悪くない。

こっそりとスマホで宿泊が出来るプランを探してみると、時期的にバレンタインフェアを行なっている場所が多く、カップル向けの内容が人気みたいだ。

「これにしてみようかな」

あるオプションが付いたロイヤルプラザホテルという宿泊プランがあり、早速予約した。

粋なりホテルに連れていくのもあれだし、チェックインまで映画でも観てみようかな。

そんなことを考えるだけでも楽しくて、頬がにやけるのを気づかれないようにするのが大変だ。

 (美空に喜んでもらいたいな)

美空を想う度に気持ちが温かくなって、好きだという想いが強くなる。

早速美空にメッセージで2月14日のデートを提案してみたら、とても喜んでいる絵文字付きの返事が届いた。

 (良かった、後は2月14日を待つだけだ)

俺は2月14日の日を楽しみに、仕事に励むのだった。
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