世界一遠距離恋愛
この気持ち…もしかして恋!?
「それ、恐らく恋ですよっ!絵里子先輩っ!」
おもむろに筆を持ち、墨汁をたっぷり染み込ませた筆先を半紙に走らせ、紙いっぱいに一文字「恋」と達筆な字で書き、満足げにそれを見せて来たのは一年生の後輩、高崎凪沙(なぎちゃんって呼んでいる)。見ての通り、彼女は書道部所属である。何かを思い立つ度に筆を握っては素敵な文字を書いてしまうのだから、余程書道が好きなのだろう。コンクールでは数々の賞を取っている。
彼女とあたしが学年も部活も違うのにこうして仲良くしているのは小学校からずっと同じ学校に通っているからだろう。歳は違うとは言え、所詮は一年しか変わりがない。あたしにとって人懐っこくて元気ななぎちゃんは可愛い妹の様な存在だ。
< 9 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop