あかいもの。



「ひびきー。りひとー。


お母さんが迎えに来るってさ。だから帰る支度・・・て、明希と仲良くなったの?」



廊下で電話をしていた奈津が戻ってきた。


明希に抱きかかえられている二人を見て、びっくりしている。




「よかったな。」




大地も冬也も穏やかな顔をしている。




この二人が親に黙ってまで奈津に会いたいと思うんだから、奈津はきっといいお姉ちゃんだったに違いない。


こんなに歳の違う兄弟でも、奈津にとっては血のつながりなんて関係のない、本物の家族なんだろうな。





ーーーピンポーン。





インターホンが響いた。




「ママだっ!」



理人くんが玄関に走って行った。



なんだかんだで、ママが居なくても寂しいんだね。




「奈津ちゃん。ごめんねー。」



玄関から奈津のお母さんの声がする。




「俺たちも行こう。」



あたし、冬也、大地そして明希は奈津の後を追って、玄関へ行く。





二人のお見送りのために。

< 45 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop