グレープフルーツを食べなさい
「……上村?」

「あ、すみません」

「どうかした?」

「や、なんでもないです」

 そう言うと、上村はグラスを一気に呷った。

「ちょっと、大丈夫?」

 上村は勝負の後も、そのまま度数の強いタンカレーを飲んでいた。

「大丈夫ですよ。そろそろ出ましょうか」

「う……ん」

 上村は手の甲で口を拭うと、ゆっくりと席を立った。

 その仕草が、話の続きを拒んでいる証のように見えて。

 私は何だか納得いかないまま、上村の後に続いた。


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