氷と魔女《specialstory 完結》
「あ…のさ、もしかして…吟から、聞いた?
あの…政府の、これからのこと」


あぁ、そのことか。

冷夜もやっぱ気になるよね。


「うん…断ったけど」


冷夜はやっぱり…なんて言いながらうつむいた。


「いや、一応4人で話し合ったんだよ。

みんな最初は千草を巻き込みたくなくて、内緒にしようと思った。
けど、父さんたちから、直接味方を増やすようにって言われたんだ。

だから千草に声をかけようとしたんだけど…」


「うん……」


「吟が反対したんだ。
『政府に接点がない千草を危険な戦争に巻き込ませたくない』とか言ってさ。

で、3人で説得して。結局言うことにしたんだけど、俺が言いたいって吟が聞かなくって。

今日の朝、吟が言ったんだろ?」


私はうなずく。

今日の朝…ってゆうか、夜も明けてない時だけど。


「行ってくるって言って、結構すぐ帰って来て、ダメだったって言ったから不安だったんだ。

本当は話してないんじゃなかったって」


冷夜は一瞬切なそうな顔をした。けどすぐ元に戻った。


冷夜も、心配してくれたのかな。


「言っておくけど、僕たちは千草のことを力だけで見てないからね。
力しか見てないとか、思わないでほしい。

僕たちは、千草を信じてるから」



キーンコーンカーンコーン



「………もう、授業が始まるよ。移動じゃないし、教室へ行こう」


冷夜は私を見て、少し微笑んだ。


そして、すぐ教室に帰ってしまった。


「……反則、じゃない?」



冷夜、あんな風に笑うこともできるんじゃん…


笑ってればいいのに。常に。


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