空とマンホール
時計の針

高校入学してから三回目の呼び出し。
もう慣れた。

合格祝いだと買って貰った腕時計を見て、教室を出る。

廊下を歩くと、クラスメートと一緒に居る汐野哲と擦れ違った。視界の端でそれを捉えて、目を合わせることはしなかった。


「結」


後ろから呼び止められる。多分こうなるのは予測してた。

立ち止まって振り向く。


「母さんが土日のどっちかは絶対帰ってこいって」


伝言を言い終えると、哲はこちらに背を向けた。
隣の女の子があたしと哲をちらちらと見比べて、腑に落ちないって顔をする。



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