空とマンホール
あたしは先輩や先生との距離を、こうして計りとっている。
先輩の手が前頭部に乗る。ぽんぽんと二回。
「後輩が出来て、本当に嬉しいよ」
邪気の無い笑顔。先輩のそんな顔は初めて見た。
「だからこれからもよろしく」
「はい」
校舎へ戻る先輩の後ろ姿を見て、あたしは傘を開いた。よし、帰ろう。今日の夕飯はすきやきだ。
いつもより軽い気持ちで帰っても、いいよね。
「結」
でも、神様は、それを許してくれる義理は見せてくれないらしい。
かけられた声に振り向けば、タオルを被った哲がいた。