忘れた



季節は秋。今日から10月に突入した。


「夜、涼しくなってきたね」


「っていうか、寒いよ」


あたしと舞花が話していると、ブレザー姿の里美が教室に入ってきた。


「里美おはよ。今日から衣替えだっけ?」


まだカッターシャツのあたしが尋ねる。


「そうだよ。今週中」


「りょうかーい」


ヘラッと笑うあたしを、里美が眉を潜めて覗き込む。


「最近、奈緒、なんか変」


「えっ、そうかな…」


「無理に笑ってるっぽい。元気ないし、よくボーッとしてるし、何かあったんじゃない?」


里美、鋭い…


「あたしも思ってた」


と舞花。


「友達に隠しごとは無しだよ。話しなさい」


2人にジッと見つめられ、あたしはもう話すしかないと思った。


「分かった、話すよ。でも、梨沙たちにも聞いてもらいたいから、昼休みね」

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