忘れた

勇介の姉

初めて見る奈緒の体は、すごく綺麗で、すごく柔らかかった。


俺に任せろ、なんてカッコつけてみたけれど、実はこういうことをするのは、随分久しぶりで。


かなり緊張してたんだ。


そんな俺の目の前で、奈緒がスヤスヤ眠っている。


その寝顔がとても可愛くて、愛しくて。


そっと頬に手を当てる。それから、親指で唇をなぞって…


「ん…」


やべっ、起こしちゃった。


「もう朝?」


「まだ夜だよ」


「そっか。目、覚めちゃった」


と言って、奈緒は笑った。


「何か面白い話してよ。

そうだ、あたし勇介の過去が知りたい」


ドキッとした。いきなり何言い出すんだよ。


「それは…また今度。

それより、俺の先輩の結婚式の話でも」


「勇介」


奈緒は、真顔でジッと俺を見つめた。

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