忘れた
いきなりの激しいキスに、あたしは戸惑った。


いつもの優しいキスとは違う、荒っぽいキス。


苦しくて唇を離そうとするけど、顔をしっかり固定されていて、動けない。


勇介の胸をドンドン叩く。


そこでようやく、勇介は離れてくれた。


お互い、ハアハアと息が上がっている。


「ゆ…すけ、ど、どうしたの」


勇介は切なそうに、顔を歪めていた。


「早水の、話、するな」


あ、そっか。


あたしの愚痴なんて、聞きたくなかったよね。


「ごめんね、勇介。あたし人の悪口ばっかり。気分悪かったよね」


「そうじゃなくて、早水の、話をするなって言ってんの」


おや?


「もしかして勇介、ヤキモチ妬いてる?」


思わずニヤけるあたしに、勇介は真面目な顔で答えた。


「すっげえ妬いてる。早水がめちゃめちゃ羨ましい。

毎日なんの苦労もせずに奈緒に会えて、からかったり出来て」

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