忘れた
勇介は恐ろしく大食いで、しかも食べるスピードが尋常じゃないほど早い。


あたしがカレーを食べている間に勇介は、グラタン、サラダ、ポテトをペロリと平らげていた。


「なあ、公園でのこと、忘れられないのか?」


唐突に、勇介は言った。


あたしがあの男にされたことを思い出して泣いたと思ったらしい。


「ううん、それとは別のこと…」


あたしは俯いて答える。


「そっか」


勇介はしばらく黙って、口を開いた。


「無理にとは言わないけどさ、それ、俺に話してみない? 誰にも言わないって約束するから」


勇介は、真剣な表情であたしを見つめていた。本当に、あたしを心配してくれているような気がした。


あたしは勇介を信じて、洗いざらい打ち明けようと決心した。

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