忘れた

お泊り




「ごめーん、今日は彼氏の家にお泊まりなの」


と里美。


「あたしんち、親が厳しくて、友達とか呼べる雰囲気じゃないんだ」


と梨沙。


「今日はあたしたち、夜練だから無理。ごめんね」


と舞花と麗。2人はバドミントン部に所属している。


「そんなあー」


落ち込むあたしを、みんなは呆れた顔で覗き込んでいる。


「大体、弟の為にあんたが出て行く必要ないって」


「そうなんだけど、健斗に彼女が出来るなんて初めてだし、隣の部屋から何か聞こえてきたら嫌じゃん?」


あたしの意見にみんな、確かにね、と同意した。


「あ、そうだ。勇介に聞いてみよ」


「ええッ」


大きな声を出したのは、彼氏のいない梨沙だ。


「だだだ、だって、勇介さんって、男だよ?」


何されるか分かんないよ? と心配そうに言う梨沙。

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