忘れた
「違う。元バレー部。今は帰宅部だよ」


「の割りには運動音痴だよな」


「うるさいッ」


「今日も散々だったな」


「うるさいッ」


言いたいことだけ言って、早水は去って行った。


「あー、もう。早水っていちいちムカつく」


「奈緒に遠慮がない男子なんて、早水くらいだよね。

他の男子なんて、奈緒に話しかけるとき緊張でガチガチだもん」


と麗。


「え、そうかな。っていうか、何で緊張?」


「奈緒は知らなくていいの」


なにそれ。余計気になるじゃん。


「早水は誰にでもああなんだけど、奈緒には特別無遠慮な気がする」


「それ最悪じゃん」


下駄箱に靴をしまい、あたしは苦い顔をしてみせた。


「もしかして、早水って奈緒のこと好きなのかもね」

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