ONLY YOU~愛さずにはいられない~Episode.0~
「康秋君・・・」

1週間ぶりに彼が帰宅した。

「今夜は帰って来たんだな。でも、お前の夕食はないぞ。康秋」

「適当に食べて来たからいい」

「そっか・・・」
信兄は康秋君の姿を見るなり、部屋を出てしまった。
「信兄に余計なコト言うんじゃないぞ。香波」

信兄が居なくなった後、康秋君は私を叱責した。

「ゴメン・・・でも、いつまでも・・・仲たがいしてるから・・・私としては心配で」

「・・・信兄と仲良くならなくても、他の連中とは上手くやってるからいいんだよ」

康秋君はそう言って、ダイニングテーブルの椅子に腰を下ろした。

「この夕食は誰のだ?」

「私の分よ」

「何でこんな遅くまで夕食食べずにどこに行ってたんだ?」

「え、あ…塾」

「塾?」

私は嘘を付いた。

「香波って、大学に進学するのか?」

「え、あ・・・うん」

「へぇー…偉いな」
私は彼の目の前の椅子に座り、信兄が用意してくれた夕食を食べ始めた。

康秋君は頬杖ついて私が食べるのをジッと見つめる。

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