ひとひらの雪


「奈々と琥太郎元気かなー?」


「…毎日のように電話で話してただろ。」


「やっぱり直接会うのとは違うよっ!」


 色々大変だったが無事、四人共高校に受かることが出来た。


 雪姫は特待生としてバスケットの強豪校へ、奈々は都市部の名門女子校へ、晴流と琥太郎は地元の公立高校へと通っている。


 今日はおよそ5ヶ月ぶりの再会。本当は終業式なんてサボってすぐにでも会いたいが、そうはいかない。それぞれ用事がある為、こうして大人しく学校に向かっている。


「…あっ。」


 見上げれば清々しいまでの青空。高校に入った記念に祖父母に買ってもらった携帯電話を掲げ、雪姫はカメラのシャッターボタンを押した。


──カシャッ


 みんなに送ろう。そう思いメールを作成しながらふと呟く。


「そう言えば、あの日もこんな天気だったね。」


「…ああ。」


 そう。それはまるで屋上で叫んだあの日のような空だった。















 中学校の卒業式が終わった後、教師の目を盗んで改めて行った屋上。


 その時、みんなで約束したことがある。


──ちゃんと乗り越えられたら、四人であの川に行こう。



< 37 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop