失 楽 園




いつまでもこんなに
うかうか滞在していられない。
持っている金にも
限りはあるのだから、
モーテル暮らしも厳しかった。

そんな時、
ひとりの日系アメリカ人に出会う。


名前はケイタ・J・ミヤギ。


シャーロットの中心部で、
スシ屋を営んでいる男だった。

気がよく人情に厚い男で、
日本人である僕らに
親しみを覚えたのか、
ケイタは拙い日本語ながらも
僕たちと必死に
コミュニケーションをとり、
それはよくしてくれた。

僕らがこのまま
アメリカに滞在し続ける手続きも、
住む場所も手配してくれた。

話はとんとん拍子で進み、
本当に、夢のようだった。


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