失 楽 園

┣姉さんの、笑顔





気がついたら僕はケイタの家を飛び出し、
タクシーに飛び乗っていた。

運転手に短く行き先を告げ、
目許を片手で覆って深く溜息をつく。

怒りか哀しみか、
なんだかわからない感情が
僕を支配していく。



 僕は、ひとりになってしまった。



目を閉じれば姉さんの姿が見える。


脳裏に焼き付いた、
あの日の、姉さんの――…。



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