失 楽 園




青年との会話を
中断させたのが気掛かりなのか、
綺麗に整った眉は申し訳なさそうに
8の字に歪んでいた。

私は看護師の呼び掛けに答える。


「観月さんに、
 面会を希望している方が……」


私は立ち上がり、
青年をちらりと見てからその部屋を出た。


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