失 楽 園




心臓が馬鹿みたいに
どくどくと暴れている。

急激に喉の渇きを覚え、
僕は唇を一度だけ舐めた。

背中にある手のひらは、
僕のシャツをきゅう、と握った。



そんなわけない。
そんなわけない。



「……うそ、だ……」


どうしても後ろを見ることが出来ず、
僕は唇を噛み締めて窓の桟を
ぐっと握った。


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