失 楽 園



僕が十六歳の時。

僕はもう高校生になっていて、
声も身体も、同年代より早く
成熟したモノになっていた。

そのせいか、
僕はよく女性に告白された。



「あの、観月くん」


そう言って、
月に何回か呼び出されて
淡い恋心を打ち明けられる日々。

どんなに美人でも、
どんなに可愛くても、
僕はその告白に、
首を縦に振ることは無かった。



僕が欲しているのは――…

 姉さん、だけだったんだ。


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