失 楽 園
すぐにドアが開けられ、
恭ちゃんが部屋に入ってくる。
「姉さん。傷、手当てしなきゃ」
確かそんなことを
言っていたような気がする。
私は弟の申し出を拒否したが、
弟は自分が手当てすると言って
聞かなかった。
後ろにひっそりと立つ弟に、
どうしようもない恐怖を覚えた。
空気がちりちりと肌を刺す。
私がほう、と息をついた時、
弟は聞こえるか聞こえないかと
いうくらいの小さな悲鳴をあげた。
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