失 楽 園

┣待ちわびた今日




僕はまず手袋をはめ、
深い眠りについた父さんと母さんを
ワインセラーに運んだ。

そこは地下だということもあり、
めったなことをしないかぎり
何をしているか近所からは
何もバレないからだ。

ワインセラーに運んでから、
無理矢理ふたりをイスに座らせ、
一切身動きが出来ないように
ロープできつく手足を縛った。

声も出せないように
布を口に詰め込み、
ガムテープで封をする。


そばでそれを見ていた姉さんは、
がくがくと震えていた。


僕は優しく姉さんの背中を撫で、
そっと囁く。


「あと数時間もしたら
 目覚めるだろうから……
 ディナーを再開しよう」


< 66 / 187 >

この作品をシェア

pagetop