臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「夏休みは羽目を外し過ぎるなよ。……まぁ高田は別だがな」

 ホームルームの終わりに担任が言った。数人のクラスメートがクスクス笑った。


 康平は、ふてくされた顔で頬杖をついた。


 チャイムが鳴って解散になった。この日ボクシング部は、部活が休みだった。

 梅田は期末テストで赤点取った生徒の補習に忙しいらしく、飯島は午後からある友人の結婚式に出る為、急いで帰ったようだ。

 永山高校ボクシング部は、先生がいなければ部活が出来ないルールになっていた。


 明日から始まる規則正しい夏休みに希望を見出だせない康平は、健太や他の友達と遊んで気分転換でもしようと思っていた。

 健太のいる教室へ行こうとする康平に、亜樹が呼び止めた。

「康平、ちょっと待って! どうせ今から遊びに行こうか考えてんでしょ? それだったら少し付き合ってくれないかな」

< 125 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop