臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
有馬の友達と白鳥の事情
 八月になり、石山と兵藤は、インターハイ全国大会に向けて最後の調整に入っていた。

 練習も早く切り上げているようで、更衣室でも一年生達と会う事はなかった。

 康平と健太には期待している事があった。

 二人の先輩の試合には、梅田と飯島が一緒に行く予定になっていた。その為、部活が休みになるかも知れないのだ。


 この日の練習には、なぜか二人の見学者がいた。

 一人は色が白く鋭い目付きの男で、ガッシリした体型である。

 もう一人はスリムな体型で、小麦色の肌に大きな目の男だ。共に短髪である。

 梅田が二人を紹介した。

「今日見学に来ている二人は、お前らの先輩だ。色の白い方が山本賢治。黒い方が内海俊也だ。この二人は今も大学でボクシングをやっていて、リーグ戦にも出ているベテランだ」


 色の白い山本が梅田に言った。

「色々忙しくて、石山と兵藤のスパーの相手をしてやれなかったのが残念ですね」

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