臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
正直者が馬鹿を見ない世界
 この日の練習が終わって着替えた一年生達に、内海が話し掛ける。

「オメェら、質問したい奴はいるか?」


 康平以外の三人は、すぐにでも質問しそうな感じだ。


「おいおい、こりゃ長くなりそうだぜ」

 山本が苦笑した。

「このクソ暑い中、ここにいるのもイヤだしな。……しゃぁねぇ、駅前のファミレスに行くぞ!」

 内海が言うと、山本が康平達に言った。

「心配すんなって。金は俺達が出すからよ。ただ、少しは遠慮しろよ」


 六人は駅前のファミレスに入った。

 一番奥の席に座って、それぞれ注文をする。

 内海が笑って言った。

「オメェら今は練習中じゃねぇんだからよ、もっとくつろげや」


 有馬が早速二人に言った。

「あの質問いいですか?」

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