臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「私も監視してもらわないと、勉強しないタイプなんだけど……」

「綾香はいいのよ。親友だからね」

「じゃあ康平は何なのさ?」

「んー……難しい質問ね。要領が悪くてほっとけない人って感じかしら」

「それは言えてる! ホントぶきっちょだからさ」

「チョット二人共ヒドいんじゃない?」

 そう言った綾香に、康平は諦めた表情で言った。

「いいんだよ! 二人には毒舌以上に世話んなってっから」

 健太は、康平をネタにすると綾香の前でも自然体でいられるようである。


 九十分程勉強したであろうか。誰が言い出したわけでもないが、四人はロビーへ休憩に行く。

 健太が両腕を上に伸ばす。

「久々勉強したって感じだな」

「健太君は宿題全然やってなかったの?」綾香が言った。

「同い年なんだから、呼び捨てでいいからさ。……今までだったら、夏休み終わり間際まで一緒に宿題をしないでいてくれる友達がいたんだけどね」

 健太は康平をチラっと見ながら言った。

< 220 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop