臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
試合に出る裕也と気になる女の子
 しばらく新しいメニューでの練習を続ける一年生達。徐々に体力がついて、こなせるようになってきた。

 ただ、フォームはまだギコチない。


「有馬、左ジャブが裏拳になってるぞ。鏡の前で構えた時、左拳と左肩が同じラインになるんだ」

「高田、右ストレートを打っても左足の親指を浮かすんじゃねぇ!」

 梅田のチェックは、マンベンなく一年生全員に施される。

 だがパンチというアイテムを貰った一年生達は、精神的に充実して練習していた。


 その日の練習が終わり、帰ろうとしていた康平と健太は、梅田と飯島が呼び止められた。

「お前らこいつを知ってるか?」

 梅田はそう言って、二人にインターハイ県予選のトーナメント表を見せた。

 それを見た康平と健太は、驚きのあまり固まってしまった。

 ライトウェルター級のトーナメント表には、坂田裕也の名前が出ていたのだ。
< 32 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop