彼の言葉は。
彼の言葉は。
あたしは、絶対に忘れない。



君が言い残した、あの言葉…。



あたしは、待ち続けるよ。

何があっても。




──

雨上がり。


空は、雨が降っていたことなど忘れるくらい快晴だった。



「この空を遠くで見てんのかな?」




なーんてね。



あたしの想い人は近くにいない。



三年前、彼はイギリスに旅立った。


所謂、留学ってやつらしい。



ただ、あたしは何にも知らない。


何がしたくて彼が旅立ったのか。



しらない。





だけど彼は、

[必ず戻ってくるから。

待ってて。]


と言い残して、あたしの前から消えた。



呆気なかった。


あたしが待つといったわけでもなく、かと言って待たないといったわけでもなくて。



やっとの思いで口を開こうと覚悟を決めて俯いた顔を上げたら、

彼はもういなかった。

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