「異世界ファンタジーで15+1のお題」五
「あ……僕、なにかいけないことを言ったかな?」

「ううん…なにも。
……どうして?」

「だって、そんな哀しそうな顔……」

アズロはそう言うと、心配そうに僕の瞳をみつめた。



「哀しそう…?
そんな風に見えたとしたら、それは君の思い過ごしだよ。
僕は、今…ひさしぶりにすごく幸せな気分を感じてるんだから。
あ…これは、強がりでもなんでもないよ。
僕の本心…」

「そっか…おかしなこと言ってごめんね。」

「気にしてないよ。
でも…やっぱり、僕ってそんな風にみえるんだね…
僕は、哀しい事なんて何もないのにね…」



なぜ、そんな事を言ったのか、自分でもわからない。
それは嘘だというわけではない。
でも、本当でもない…



(僕の心は、もう哀しみがいっぱい過ぎて破裂してしまったんだもの…
その後は楽になった…
僕は、もう、何も感じない。
苦しみも哀しみも何も知らない…
ただ、楽しいことや嬉しいことも同時になくしちゃったけど…)



「他人の言うことなんて、気にすることないよ。
特に僕は普通の人とは、どこか違うみたいだからね。
ね、ところで、僕…もう一つ訊きたいことがあるんだけど…」

僕の身の上でも訊こうというのか?
親のこととか、住んでいる所とか?



「……なんだい?」

「ここはどこ……?」



今、彼は何と言ったんだ?
僕にはおかしな言葉が聞こえたけれど…




「えっと…もう一度、言ってくれる?
僕、今、ぼーっとしてたみたいなんだ。」

「ここはどこって聞いたんだよ。」

「え……!?」



アズロにはふざけてるような素振りはなくて…



「き、君……もしかして、道に迷ったってこと!?」

「う~ん…少し違うかな。
僕は、君も知っての通り空を飛べる。
だから、ね…迷うってことはあんまりないんだけど…
今回の場合は、不意を突かれたっていうか……」

「ね、ねぇ、どういうこと!?
落ちついて、もう少しわかりやすく話してくれない?」

僕がそう言うと、アズロはくすりと笑った。




「シンファ…落ち着くのは君の方だよ。」

「あ……」

恥ずかしさで顔が熱くなった。



「……とにかく、早く話してよ。」

< 6 / 66 >

この作品をシェア

pagetop