プリキス!!




心臓が、皆に聞こえるくらい煩かった。

もしかして、本当の本当に本物のアオが来ちゃったんじゃない……?



早く行ってあげなよとハイテンションな彼女とは裏腹に私の足取りは重く、出来ることならそこから逃げ出したかった。






校門の前。

本当に女の子が立っていた。

ショーモデルのように身長が高く、美しく施されたメイクに流れるような栗色の髪。



北聖の制服を着たその子はアオの特徴とは違った……だけど、本当に綺麗な子だった。





「……何の用?」

恐る恐る話しかけると彼女は私に初めて気がついたかのような態度を取った。


「……あんたがアオ?」




じろじろとその美少女は私を舐め回すように見た。

訝しげなその顔は、まるで“お前は本物じゃないんだろ”と言いたいようで。



「あなたは誰なの。私に何の用?」

「質問に質問で答えないでくれる?俺はあんたにお前がアオかって聞いたの。」



話題を変えれないかと試みたが、それは失敗に終わった。

「オウム返ししか出来ないとか馬鹿なの?」と失礼なその子に、怒りが込み上げてきて。


私が……アオよ!!




「……っ、そうよ!!私がア……んっ……!」




気づけば身長の高いその子に後ろを取られ、ハンカチを口に当てられていた。

苦しい、と暴れるけどその子は思いのほか力が強く。

遠ざかる意識の中で、「天がご所望だ」と聞こえたような気がした。





美蒼side end
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