プリキス!!





手を引かれるまま歩いてたどり着いたのは、やはり駐車場ではなく。



「公園……?」

「俺のお気に入り。」



見晴らしがいいでしょ、と自慢げに言うだけあって、本当に周りの景色がよく見えた。

ビルだらけな都会とかと比べると、低い屋根の建物が少し立ち並んでいるだけだから、空が綺麗に見えた。

公園は大きいものではなく、小さな犬の像とブランコ2つ、それからシーソーが置いてあるだけの簡素なもの。

恵のお気に入りなのは分かったが、なんで此処に来たんだろうと首をかしげた。



そして……ね?

凄く景色はいいのだけれど……



ギィーー



ブランコが風に乗って揺れるだけで怖い。

夜の公園に滞在するメンタルはちょっと持ち合わせていなかった。




だからと言って、何か意図あって連れてきてくれたのかもしれないじゃない。

だから……帰りたい!と直接的にも言えなくて。

何か間接的に帰ることを進めよう、と決意する。





「めぐ、」

ヒュー……ドーンッ


恵に声を掛けた途端、聞こえた何かが打ち上がるような不思議な音。

音の鳴る方を見れば


ドーン、と。

真っ赤な花火が打ち上がったのだ。




「っ、……」

次々に打ち上がる綺麗な花火。

あまりの綺麗さに、怖がっていた事なんて忘れてしまう。

恵は、花火が打ち上がることを知って此処に連れてきてくれたんだろうとようやく悟る。

ただ単純に、私はそれが嬉しかった。




< 410 / 422 >

この作品をシェア

pagetop