プリキス!!





「番長!今までお世話になりました。」

「番長は、住む世界が違う人なのに、俺らに合わせてばかやってくれて……嬉しかったっす!」



その日の空は朝からやたらと暗かった。

降水確率60%

それはまるで、ここに集う大勢の少年少女達の心を代弁したかのような天気であった。



「何ゆうてんの。うちは、あんた達みたいな最高の仲間といられて楽しかったで。ありがとな。」



黒髪ショートボブの少女の前には数百人の少年少女が立ち並ぶ。

柄が悪く強気な彼らだが、その日は大勢が涙を流していた。
長年トップを勤めてきた少女が引退するからだ。



「南。“薫櫻”は任せた。二代目はあんたや。」

「はいっ……!カレンさん、本当にありがとうございました!!」

「……元気でな。」




トランクを持った少女は今日、この街から消える。

命よりも大切な、仲間達への最期の挨拶に少女は薄暗い倉庫までやってきたのだ。




「番長、さようなら!」

「俺らの事、忘れないで下さいね!」

「お世話になりましたーー!!!」





別れの時、少女は一度も振り向かなかった。

最後まで、仲間の望む“番長”であるために。











伝説の女番長

一代で関西最強を築き上げた謎の女

初代 薫櫻番長 カレン










「佳蓮ちゃん、本当に良かったの?」

「良かったって何が?ああ、カナンの事か?」




舞台は変わって関西空港。

人の混みあうそこに、彼女はいた。



彼女とともにいるのは、中年の、優しそうな男性。

佳蓮の父親である。

最愛の娘との別れ。

父親の目が腫れているのは、昨日の夜から涙が枯れるほど泣いたからだった。




「何を出発の時になって今更。当たり前やろ。うちは自分の務めくらい果たしてみせる。」

「でも〜〜行きたくないでしょ。薫櫻もあるし。」

「まぁ名残惜しくないとは、言わない。けど……うちが陰飛羽にいくのは“兵藤”の為や。」

「佳蓮ちゃん……!立派になって……!」



うるうる、お父さん感激!と、両手をグーにしてぶりっ子ポーズ。

そんな父親を佳蓮は冷たくスルーした。

暫く歩いて、出発ターミナルに到着する。




「見送りはここ迄でええ。」


見送りの礼を言った後、佳蓮は父親に頭を下げた。




「うちは兵藤の為に、今度こそ責任ある行動をする。お父さん。兵藤はうちが守るから、その為に必要な事を学びに行ってくるからな。」

「……ああ。佳蓮が大きくなって帰ってくるのを楽しみに待っているよ。」



佳蓮は顔を上げた。

満面の笑みである。

期待に武者震いをして、佳蓮は一歩を踏み出した。




「さあ行こか!うちの、戦うべき場所へ!」






プリキス!! Fin




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