神様の憂鬱

魔法の言葉

見渡す限りには、緑が溢れている。

空は大きく切り取られたように開いていて、

そのちょうど中央よりちょっと右側に太陽が浮かんでいる。

目の前を、小走りに駆けていく中年男が横切った。

その先には、犬を散歩している老婦人がいる。

ここは、紗良奈の家からかなり離れた場所にある、割と大き目の公園。

力を使って一気に飛んできたのは五分前。

隣には、人形のように動かない紗良奈がいる。

その彼女の前には、立ちふさがるように聳(そび)え立つ大きなイチョウの木。

その木の陰から、彼女の視線は真っ直ぐに伸びている。

数メートル先のベンチに座る一人の男へ。

ここに降り立ってから、まだ一歩も動いていない。

だから――見ないですむものもある。

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