神様の憂鬱
ボクは歩みを進め、娘の後ろに立った。

彼女はボクの存在に気がついていないのだろう。

まだ瞼を閉じ、手のひらを合わせて祈っていた。

こんなにも長い間、いったい何を祈っているのだろう?

気にはなったが、心を頭を覗くことはできない。

それをした時点で、ボクは天歌に負けることになる。

そんなこと、プライドが許されなかった。

だから、ボクは辛抱強く待ち続けた。

目の前の娘が、祈りをやめてボクに視線を移すのを。

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