神様の憂鬱
「どうしたの?」

問いかけてみるが返事はない。

ただ、ぶんぶんとかぶりを振るだけ。

しゅんしゅん、と薬缶が準備できたことを告げる。

ガスコンロの火を止めて、紗良奈がお湯をカップに注いだ。

「どうぞ」

小さなささやきと共に、カップが差し出された。

ボクは黙ってそれを受け取りながら、

「紗良奈?」

ともう一度だけ呟いた。

だけど彼女の指は、まっすぐにソファーを指す。

ふむ、そういうことね。

カップを両手で包みながらソファーに座ると、小さな声が耳に届いた。

「やさしくなんてないのよ――

わたしなんて――

消えてしまえばいい」

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