♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
それは、『ダイヤとハートのKとJ』とは言っていても、『ダイヤのKとハートのJ』もしくは『ダイヤのJとハートのK』という風に限定しては言ってない点。

つまり、マジックを見ている側からすれば、そういったあいまいな言い方をされて一瞬だけKとJを見せられれば、どちらがダイヤの絵札でどちらがハートの絵札かまでは覚えきれない。

今回の僕がやったマジックの例で言えば、厳密には、真ん中に差し込んだカードは、ダイヤのKとハートのJ。

そして、やまの一番上と一番下に順不同で用意されていたのは、ダイヤのJとハートのK…」

「だから礼士さんが言いたいのは、実際に『金色の天使』を壊す為のマジックナイフは、小谷静達がすり替えを行うまでもなく、初めから恵さんの手に存在していて、それを気付かず恵さんが使用してしまう事によって、結果、あの絵画は壊されてしまう。

ヴァンパイアも、私達が調査の結果、マジックナイフの事までたどり着く事ぐらい解った上で、挑戦状をたたきつけてきているはず!」

「小谷静と共犯者の京子をおさえて安心しきっている僕達の目の前で、見事ヴァンパイアの目的が達成されてしまうという筋書き…

これに違いない!

…はあ、根詰めて謎解きをしたせいか、少し眠くなってきたなあ…」

「何を言ってるんです!そうと解れば、早速恵さんにその事を伝えに…」

「いや、それは思いとどまった方が良いぜ、乙女座?

本番で、恥かいちゃうよ~♪」

「恥って、礼士先輩、一体何を…って?

乙女座!?

ま、まさか今の先輩…」

「うん、僕ヴァンパイア~♪

…しっかし、良い線までいってたのに、またいつもの様に、自ら謎解きの迷宮に入り込んじゃうんだから。

今回は、早くもタネがばれて即降参かと思いきや、全く、未熟なお二人さんだこと。

…まあ、そういうお前等が好きでもあるがね。」
< 25 / 52 >

この作品をシェア

pagetop