♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
「アンタ達に、解るものか!

どうせ、アンタ達は静一人を全ての悪に仕立てたいんでしょうけれど、あの子だって、恵以上に不憫な子なのよ!

そうよ!この計画が失敗した時には、あの子の為に、私は一人で罪を背負うつもりでいたわ!

…解んないでしょうね、探偵気取りに酔いしれているアンタ達には。

自分を犠牲にしてまで、力を貸してあげたいって思える子に出会ってしまった私の気持ちは。

…まあ、いいわ。このマジックナイフは元々、私が演劇部から勝手に拝借してきた物。

今度は、直接太田部長に返しに行って、怒られてくるから…」




春子と礼士は二人、しいんとした廊下に立ち尽くしたまま、お互いの顔を見合って首を傾げていた。

「何でだろう?何であんな風に熱くなるんだろう。

京子さん。

…そう言えば、恵さんにしても、図書室で静さんの批判めいた言葉を聞いた瞬間、激怒した…

何か、不思議だよね、ハルちゃん?」

「そう、不思議なのよね…」

実は、この二人の不思議に思う部分は、この時若干ずれていた。

春子は、少し別の視点でこの出来事をとらえていた。

-今回の、ここまでの出来事の流れ…

あの紅葉公園での出来事、ヴァンパイア礼士の挑戦状、そして今に至る一連の出来事の流れ…

何か解らないけれど、所々、引っかかる物がある。

何なんだろう、それらは。

でも、もしかしてそれが解決すれば、ヴァンパイア礼士の仕掛けたトリックの、真の意味が解るのかも…-

「…気を付けて、運んで~!隣に移すよ!」

「恵先輩の絵画運ぶから、誰か横の第二美術室の扉を…

あっ、あなた達、申し訳ないんだけれど、そこの教室の扉、開いてくれる?」

「えっ?あ、ああ、はい。

ハルちゃん!そこ邪魔になっちゃうから、少しよけて!」

「あっ、はい!」
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