元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー


前に一度、今日みたいに遅刻したことがあって…。

その時は、ほんとに怖かった。

麗華は怒らせると凄く怖いの。ても付けられないほどに、ね。



麗華に怒られるよね…。


憂鬱になりながら廊下を歩く。


はぁ〜…、今日なんで寝坊なんてしちゃったんだろう。


”あの”夢を見たから?

…もう、関係ないのに。今でも思い出す。ホントは、嘘なんじゃないの?って。そんなはずないのにね。

きっと私は、忘れることができない。あの時の苦しみも悲しみも、全部わかっている筈なのに。

もう一度、会えたら…って、甘い考えだとわかっている。それでも、会いたいんだよ。会って、謝りたいの。

ねぇ、めぐる…



いつか、思い出だねって、笑い会える日が来たらいいな。


それは、いつになるかもわからないし、そんな日が来るかどうかもわからない。

それでも、ずっと、ずっと忘れない。



あの時の痛みを忘れたら、楽しかった日々、全てを忘れてしまいそうな気がするから。



< 146 / 355 >

この作品をシェア

pagetop