元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー



麗華に気付かれないよう、なるべく自然に笑う。


麗華には、心配かけられないから…。



「…そういえば。麗華、3限目の時居なかったからノートとれてないでしょ?
私の、良かったら写す?」


そう言いながらノートを差し出す。


「あぁ、3限目のね。写させてもらうわ。」



「うん。授業の内容…分かる?」



「大丈夫よ。もし分からなかったら…桜に全部任せようかしら?」


「ええ?麗華、それは無茶ぶりだよ〜」


「ふふっ。嘘よ、嘘」




他愛もない話をすると、心が落ち着く。


いつもどおり。


そう、いつもどおりで。



私も麗華も、それでいいの。



この平凡な日常に、変化はいらない。


麗華が私の隣に居てくれる、それだけで幸せだから。



< 189 / 355 >

この作品をシェア

pagetop