元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー






「桜…っ!?」





「桜っ、待ってよ桜!私、まだ桜に伝えてない…!!」






背を向けた私に、二人の声がぶつかる。





蓮と―――、めぐる?






「二人とも……っ、ごめんね…ばいばい」








弱虫な私でごめんなさい。





蓮にも、めぐるにも。




背を背けた。





蓮は真実を明かしてくれたのに、最後まで逃げて。






めぐるとは打ち解けれないまま、私はまた逃げ出して。






私、逃げてばかり。





だけど逃げることしか出来ないから。








「さ、くら……っ」




「戻ってよ!お願いっ、戻ってよ桜っっ!」





二人の声から、逃げて、逃げて。





私は走った。




「…っはぁっ、…はっ、」




真実から目を背けて。
嘘に塗れたままで。





だから、







「桜……っ?なんで…っ」




「桜っ、桜!」





二人の悲痛な泣き声さえも、聞こえない振りをした。











< 313 / 355 >

この作品をシェア

pagetop